厚生労働省はパワハラの代表的な6つの類型を示している。その中の身体的な攻撃( ① 殴打、足蹴りを行う ② 相手に物を投げつける ) につい名古屋地判平26.1.15 メイコウアドヴァンス事件を見てみたいと思う。

【事案】
Y1社の従業員であった亡Aの相続人Xらが、亡きAの自殺は、Y1社の代表取締役Y2及び監査役Y3の亡Aに対する暴言、暴行あるいは退職強要といった日常的なパワーハラスメントが原因であるとして、Y1らに損害賠償請求権した。
【判旨】
代表取締役の行った暴言、暴行(「ばかやろう」などと汚い言葉で大声で怒鳴ったり、殴ることや蹴ることも複数回あった)は仕事上のミスに対する叱責の域を超えて従業員を威迫し、激しい不安に陥れるものと認められることから不法行為に該当し、そのような暴行を受けたうえで作成された退職届も、その内容からしても強要されたものであって不法行為に該当し、これらの暴行、退職強要が従業員に与えた心理的負荷の程度は総合的に見て過重で強いものであって、従前から相当程度心理的ストレスが蓄積していたところに過重な心理的負荷が加えられたことにより急性ストレス反応を発症し自殺するに至ったと認められる。

一部認容(損害合計約5,400万円)の判決が下された。

訴訟による会社へのダメージは相当なものである。
パワハラを生まない職場づくりは、会社を守るためにもある。

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