厚生労働省はパワハラの代表的な6つの類型を示している。その中の精神的な攻撃【パワハラ類型②】業務指導の必要性について大阪高判平 25.10.9・アークレイファクトリー事件を見てみたいと思う。

【事案】
派遣社員として医薬品の製造販売等を営む派遣先Y社に派遣され,昼・夜の二交代制で製造業務に就いていたXは,Y社の社員で所属する製造ラインの責任者であるA,Bからパワハラを受けたとして,派遣元である派遣会社C社を通してY社に苦情を申し出るとともに,労働局にあっせんを申請するなどしましたが,解決に至りませんでした。そこでXは,Y社に損害賠償を求めて訴訟を提起し,地裁はその一部を認めます(大津地判平成24・10・30労判1073号82頁)。これを不服としたY社が控訴。
【判旨】
「Xが体調不良で欠勤した際に,Aらから,実は仮病で,本当はパチンコに行っていたのだと非難されたこと」について、指導に付随する軽口ともいえる言動については,1回だけなら違法とならないこともありうるものの,繰り返し行われた場合には嫌がらせや侮辱として違法性を帯びるに至ると述べた上で,本件におけるAらの言動は極端な言辞による指導や対応を繰り返すもので,全体として違法性があると評価し、 損害賠償(慰謝料30万円の支払い等)の判決が下された。

冗談も相手との関係性や頻度で違法と判断されるため注意が必要である。

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