8月23日、社員の自殺が相次いだ三菱電機で、3年前に自ら命を絶った男性新入職員(当時20代)の遺族と同社が和解した。

漆間啓社長はパワーハラスメントが原因だったと認め、遺族に会って謝罪した。

トヨタ自動車や佐川急便でも社長が遺族に直接謝罪している。
大手企業でのパワーハラスメントに対する迅速な対応は何が影響しているのか。

まず、「働き方改革」があげられる。

「働き方改革実行計画」(抄) (平成29年3月28日 働き方改革実現会議決定)
4.罰則付き時間外労働の上限規制の導入など長時間労働の是正
(パワーハラスメント対策・メンタルヘルス対策)
労働者が健康に働くための職場環境の整備に必要なことは、労働時間管理の厳格化だけではない。上司や 同僚との良好な人間関係づくりを併せて推進する。このため、職場のパワーハラスメント防止を強化するため、 政府は労使関係者を交えた場で対策の検討を行う。併せて、過労死等防止対策推進法に基づく大綱において メンタルヘルス対策等の新たな目標を掲げることを検討するなど、政府目標を見直す。

これを受け、2019年に改正された労働施策総合推進法において、パワーハラスメント防止措置が
事業主の義務となっことはご存じだと思います。

あともう一つ、コーポレートガバナンス・コード改訂に伴う企業統治への影響
プライム市場・スタンダード市場においては、コーポレートガバナンスコードの基本原則だけでなく、 補充原則も満たす必要がある。
パワーハラスメント対策として、いかの項目が該当する。

【原則2-3】
上場会社は、社会・環境問題をはじめとするサステナビリティを巡る課題について、適切な対応を行うべきである。
【補充原則2-3①】
取締役会は、気候変動などの地球環境問題への配慮、人権の尊重、従業員の健 康・労働環境への配慮や公正・適切な処遇、取引先との公正・適正な取引、自然 災害等への危機管理など、サステナビリティを巡る課題への対応は、リスクの 減少のみならず収益機会にもつながる重要な経営課題であると認識し、中長期 的な企業価値の向上の観点から、これらの課題に積極的・能動的に取り組むよ う検討を深めるべきである。

このように企業(特に上場企業)に課せられた社会的使命。長時間労働とパワーハラスメントを防止し、 メンタルヘルス(健康確保)を推進し、過労死等を引き起こさないようにすることが求められている。
この社会的背景が大手企業でのパワーハラスメントに対する迅速な対応が関係していると思われる。

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