サイボウズ株式会社様が発表した、特別手当が話題になっていますね。

サイボウズは7月13日、「インフレ特別手当」を社員に支給すると発表した。契約社員などを含め(国内外で働く1千人弱が対象)、直接雇用する社員に7~8月の間に特別一時金として支払う。国内勤務者への支給額は6~15万円(インフレによる日本の1世帯当たりの年間影響額を6万~9万円と試算するデータを踏まえ水準を決定)で、1カ月当たりの勤務時間によって変わる。

海外勤務者はインフレ状況や税金などを加味して現地で金額を決める。半年ごとに給与改定している一部の海外拠点は対象外とした。 電気代や食料品などの価格が上昇するなかで、社員が生活に不安を抱かず業務を行えるよう支給を決めた。同社は基本的に毎年1月に給与を改定しているが、インフレに早急な対応が必要と判断した。

会社への好印象(感謝)が高まりますね!

インフレ特別手当の支給で人件費コストは確実に増えます。でも、会社がここまで自分たちの生活を見守ってくれているのを知れば、働く側のエンゲージメントは向上し、生産性も高まるはず。

また、企業イメージの向上と言う観点からも、社員の働きやすさを追求する具体的な事例を示したことで説得力が高まるかと思います。知名度アップの宣伝効果としても大きく寄与したことでしょう。

臨時的な制度は社会保険料負担に影響します

この施策について「なぜ一時的?」との意見も一部あったようです。労務費全体から見ると実はこの「一時的」というのは非常に重要です。労使双方の社会保険料負担について考えてみましょう。

労務の対償としての賞与ですと、その支給を届け出て社会保険料を算定しなければなりません。そして、労働者からも社会保険料を天引きすることになります。しかし、労務の対償ではなく臨時的な場合は社会保険料の対象外とされています。

インフレ特別手当という名称からすると、明らかに労務の対償というニュアンスは感じられません。また、一時的な支給であることを明言しています。この場合、社会保険料の負担は生じません。

つまり、支払方法1つで会社として支出する金額が大きく変わるのです。サイボウズ様の場合、全従業員が約1000人、この一時金の金額は最大で15万円とのことですから、1000万円近くの会社負担が生じない計算になります。

臨時的な手当が脚光を浴びる…かも?

人件費と言う性質上、労働時間や成果に対するものにならざるをえないのは当然のことです。この場合、明らかに「労務の対償」になりますが、昨今の社会情勢を踏まえ、社員の定着とか働きがいといった目に見えにくいものにアプローチする手法として、インフレ特別手当と言った支給方法は素晴らしいと思います。

社会保険料の計算という点からすると、支給総額の約15%になります。会社経営をうまくやっていく手法として、敢えて労務の対償ではない臨時的な支給をうまく活用することについて検討してみるのも興味深いと感じました。

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