障害年金申請のサポートでは、鬱など精神の障害を訴える方からの相談が多くございます。お医者様とどのようなお話をされているのかという具体例として、冒頭の質問について詳しくお話しくださった方がいました。
何気ない質問ですが、極めて重大な質問なのです
その方は、こう答えたそうです。
仕事がうまくいかず、経済的にも大変で、こんな状況がこれからも続くと思うと不安で不安で眠れない日々を過ごしています。
この言葉を聞いて、どのように感じるでしょうか?。 私自身、年金請求に繋げるための書類を仕上げるという重大任務がありますから、とことん深く深くお聞かせいただいております。みなさんも、精神の専門家のつもりになって考えてみましょう。
この言葉だけ聞くと精神疾患とは感じられない
この言葉のどこに精神疾患の要素があるのでしょう?。もちろん、ご本人はきっと苦しまれているとは思うのです。だけど、訴えている内容がこれでは、精神疾患としての治療方法をお示しできないのではないでしょうか?。治療をしないということではありませんよ。この訴えにあった様々な治療法をお示しくださってはいるでしょうけど、精神疾患の治療とは別物になると思われます。
お医者様が、他の諸々のことを総合的に判断されて、何か重大な心身の異常の兆候を感じ取られることもあるでしょう。同じ訴えでも、人それぞれ症状も異なるでしょう。だけど、この訴えている言葉だけを聞けば、あまりにも普通と言わざるを得ないのです。
ましてや障害年金を審査する立場からすれば、言葉しか情報がないわけです。これでは、障害年金で然るべき級がつくとは考えづらいのです。
どう答えたらいいんですか!
就職面接の模範解答のようなものは、ありません。事例として、様々な声をお聞きしますが、それらは相談者それぞれが本当に抱えていらっしゃる生々しい苦しみなのです。それを、さも自分事のように真似して言うようでは嘘になりませんか?。
現に、精神を専門にみてらっしゃるお医者様なら、そんな嘘は容易く勘づきます。勘づけば、その状況を総合的に診断して病名をつけるでしょう。「精神疾患を装っている」という状況を表す病名もあるそうです。
そもそも論になりますが、冒頭の質問「日常生活はどうですか?」という質問で、何を聞いているのか、改めて考えてみましょう。
この記事は私が書きました
三重県出身。工場の派遣バイトの傍ら社会保険労務士の資格を取得。中途採用で地元商工会議所勤務を経て、労働局の窓口業務を通して様々な事例を経験。 非正規就労の悲哀と行政の仕組みを熟知しているシナジー効果を強みとし、皆様のサポートをいたします。