X(旧Twitter)やInstagram、TikTok、YouTubeなど、SNSの影響力は年々増しています。

企業にとっても、SNSは採用や広報に活用できる強力なツールですが、同時に大きな“リスク”もはらんでいます。

実際に、社員が何気なく投稿した内容が炎上し、企業名が晒され、謝罪・対応に追われたという事例は後を絶ちません。特に中小企業では、「まさかうちの社員が…」という意識がある分、発生時のダメージが深刻になりがちです。

今回は、SNS投稿に関する企業リスクとその対策について、社労士の視点で整理します。


【1】SNSリスクの典型的なパターン

社員によるSNS投稿が引き起こす主なトラブルは、以下のようなものがあります。

  • 社内情報・顧客情報の漏洩

 例:「今日、○○会社の○○さんと打ち合わせ。相変わらずワガママ」

 → 業務上知り得た情報の外部漏洩、顧客との信頼関係破壊

  • 職場の内情暴露や誹謗中傷

 例:「うちの上司マジで無能。辞めたい」

 → 職場の評判低下、職場内の人間関係悪化

  • 非常識・不謹慎な投稿(いわゆるバイトテロ含む)

 例:制服姿でのふざけた行為や飲酒・喫煙、違法行為の動画など

 → 一発で企業イメージが地に落ちる事態に


【2】企業責任はどこまで問われる?

「それは個人の投稿なので会社に関係ない」と考えたくなるかもしれませんが、

社員のSNS投稿が原因で企業の信用が損なわれた場合、企業としての監督責任・対応責任を問われる可能性は十分にあります。

特に会社の制服や名刺が映っている、社名がプロフィールに載っている場合などは、外部から見て「企業と一体」と捉えられるため、迅速な対応と公的な謝罪が求められることもあります。


【3】就業規則で明文化しておくべきこと

SNSトラブルを未然に防ぐには、就業規則で「私的SNS利用のガイドライン」や「企業秘密の守秘義務」などを明記しておくことが重要です。

最低限、以下のような文言を整備しましょう。

  • 「業務上知り得た情報を、許可なく外部に漏らしてはならない」
  • 「会社名、顧客情報、同僚や上司の個人情報をSNS上に投稿してはならない」
  • 「著しく企業の信用を損なう行為が確認された場合、懲戒処分の対象とする」

また、入社時の誓約書や研修資料にもSNSの注意点を盛り込むことで、社員の意識を高めることができます。


【4】実際に起こってからでは“遅い”

SNSでの炎上は、「一夜にして企業名が全国区になる」ほどのスピード感があります。

それに対して、社内での対策や弁護士・社労士との対応に数日かかるのが現実です。

大切なのは、起こる前に防ぐこと

「うちは大丈夫だろう」「若い社員が多いから自由にさせたい」という油断が、思わぬリスクを招きます。


まとめ

SNSは非常に便利で拡散力の高いツールである一方で、企業にとっては“諸刃の剣”でもあります。社員のたった一言が、会社の信用・採用・営業に多大なダメージを与えることもあるのです。

社会保険労務士法人HRMでは、就業規則のSNS条項整備や研修実施のサポートを行っております。

「SNSガイドラインって必要?」「既存の規則で十分かな?」とお感じの方は、ぜひ一度ご相談ください。

この記事は私が書きました