「うちの子は将来、障害年金を受け取れるのだろうか?」
このようなご相談を、私はこれまで愛知県内の特別支援学校や福祉事業所、保護者の会などで数多く伺ってきました。社会保険労務士として、そして障害年金の専門家として、これまで県内の様々な地域で講演活動を続けておりますが、どの会場でも共通して見られるのが、情報の不足と誤解です。
特に「20歳前障害」に関する障害年金の制度は、制度の構造が複雑であるうえ、申請において非常に重要なポイントがいくつも存在します。正しい知識がなければ、本来受給できるはずの年金を取りこぼしてしまうリスクさえあるのです。
Contents
■ 「病名」よりも「生活の困難さ」が重視される
障害年金の審査では、病名そのものよりも日常生活への影響がどれほどあるかが審査の軸となります。
知的障害や発達障害、自閉症スペクトラム、難病などは、「20歳前障害」としての対象となり得ますが、実際に重要なのは20歳時点における生活能力の程度です。
ここで使用するのが、医師による「障害年金用診断書(精神の障害用)」です。この診断書では、身辺の清潔保持、食事、意思疎通、対人関係、日常生活への適応など6項目で、援助の必要性が記載されます。
しかしながら、私が実際にサポートした例では、本人や保護者が“できること”ばかりを医師に伝えてしまい、結果的に「自立している」と誤解されて不支給になったというケースもありました。
■ 「良い日」ではなく「普段の困難な生活」を正直に書く
申請書類には「病歴・就労状況等申立書」という、本人の日常生活の困難さを保護者が記載する様式もあります。
ここで大切なのは、**“普段の生活で困っていること”を見栄なく、正直に記載すること。**調子の良い日を基準に書いてしまうと、実態が十分に伝わりません。
たとえば「一人で通学しているが、途中でパニックになることがある」「金銭管理はできるが、計画的に使うのが難しく支援が必要」など、日常的なサポートの内容を丁寧に書くことが、審査において極めて重要です。
■ 特別支援学校の記録や教員との連携が鍵
愛知県内の特別支援学校では、個別の指導計画や生活支援記録が詳細に残されている場合が多くあります。私がご支援したケースでは、教員が記録していた「着替えや食事に部分介助が必要」「指示がなければ行動できない」などの記録が、診断書の補足資料として大きな力を発揮しました。
学校の先生や支援機関と連携して資料を整えることも、社労士の大切な役割です。私も講演の場では、保護者の皆様に「まずは学校と話すことから始めましょう」とお伝えしています。
■ 20歳になる“前”からの準備がベスト
障害年金の申請は、原則として20歳の誕生日前後(前後3か月以内)に行うのが理想です。そのためには、18歳〜19歳のうちから、医師との関係性や生活記録、支援状況を整理しておくことがカギとなります。
準備が遅れると、適切な診断書をもらえなかったり、申請が間に合わずに支給が遅れることもあります。申請書類の内容次第で、受給の可否が180度変わる――それが障害年金の現実です。
◆ まとめ:申請は“正しい準備”で決まる
20歳前障害の障害年金申請は、一見シンプルに見えて、実は非常に繊細な作業です。親御さんの“願い”や“想い”と同時に、“事実”をしっかり記録し伝えることが求められます。
私は、愛知県内の多くの特別支援学校や福祉関係機関で講演を行ってきた経験を活かし、一人でも多くの方が正当に障害年金を受け取れるよう全力でサポートしています。
もし、「うちの子はどうだろう?」と少しでも感じたなら、早めに専門家へご相談ください。未来の安心と生活を支える制度だからこそ、失敗しない準備を一緒に進めていきましょう。
この記事は私が書きました

三重県出身。工場の派遣バイトの傍ら社会保険労務士の資格を取得。中途採用で地元商工会議所勤務を経て、労働局の窓口業務を通して様々な事例を経験。 非正規就労の悲哀と行政の仕組みを熟知しているシナジー効果を強みとし、皆様のサポートをいたします。