「「割増賃金不払い」」に関する具体的な裁判例として小里機材事件(S62.01.30東京地判 S63.7.14最一小判)を見てみたいと思う。

【事案】Y社は、従業員Xについて、月15時間の時間外労働に対する割増賃金を基本給に加算して同人の基本給とするとの合意がされていることを理由にして、午後7時を超えて勤務した場合のみ、割増賃金を支払ったところ、Xは、午後5時から7時までの時間外労働に対する割増賃金の支払いを求めて提訴
【判旨】
割増賃金の計算にあたり、仮に、月15時間の時間外労働に対する割増賃金が基本給に含まれるという合意がなされたとしても、基本給のうち時間外労働手当に当たる部分を明確に区別して合意し、かつ、労働基準法所定の計算方法による額がその額を上回るときはその差額を当該賃金の支払期に支払うことを合意した場合にのみ、その予定時間外労働手当(固定残業手当)分を当該月の時間外労働手当の全部又は一部とすることができる。
Xの基本給が上昇する都度予定割増賃金分が明確に区分されて合意がされた旨の主張立証も、労基法所定の計算方法による額がその額を上回るときはその差額を当該賃金の支払期に支払うことが合意されていた旨の主張立証もない本件においては、Y社の主張は採用できない。
よって、Xの時間外労働に対する割増賃金は、基本給の全額及び各手当の額を計算の基礎として時間外労働の全時間数に対して支払わなければならない。

時間外労働手当に代えて一定額を支払うという定額残業制は、労働基準法所定の計算方法による額以上の金額を支払っていれば、同法37条に違反しませんが、同法所定の計算方法によらない場合は、割増賃金として法所定の額が支払われていることを明確にするために、割増賃金相当部分とそれ以外の賃金部分とを明確に区別することを要します。法定休日労働の割増賃金相当分、深夜労働の割増賃金相当分についても同じです。また、定額残業制によってまかなわれる残業時間数等を超えて残業等が行われた場合には、その差額を別途支払う必要があります。御社の就業規則に固定残業手当が適正にうたわれていますか。もし不安のある方は、当社ではリスク回避型就業規則作成のお手伝いをしていますのでご相談ください。

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