「毎月の勤怠集計に時間がかかる」

「タイムカードの打刻漏れが多くて、給与計算が大変」

「労基署から“管理がずさん”と指摘された」

これらは、紙のタイムカードやエクセルでの勤怠管理を続けている企業からよく聞かれるお悩みです。

近年ではDX(デジタルトランスフォーメーション)が加速し、中小企業でもクラウド型勤怠管理システムへの移行が進んでいます。

本記事では、紙やアナログ管理の限界と、クラウド勤怠管理の導入手順・メリットを社労士の視点から解説します。

【1】紙の勤怠管理は、もはや“リスク管理不全”

紙のタイムカードや出勤簿を使い続けることによって、以下のような問題が生じやすくなります。

(1) 集計ミスと人的負担

手入力・目視確認による転記作業は、月末の業務負担を大きく増やし、ミスの温床になります。

特に従業員が10名を超えると、管理が複雑化します。

(2) 違法残業や労働時間の証明不備

労働基準法では、労働時間を正確に把握・記録する義務があります。

「押し忘れ」「代理打刻」「消せるインクでの記録」などがあると、労基署調査で是正勧告を受ける可能性も

(3) 有給休暇・36協定管理ができない

紙では、年5日の有給取得義務や時間外労働の上限規制(36協定)に対する自動チェックができません。

知らずに違反している企業も少なくありません。

【2】クラウド勤怠管理の導入メリット

クラウド勤怠システムに切り替えることで、上記の課題を一気に解消できます。

  • スマホ・PC・ICカードで打刻可能
  • GPS・顔認証機能付きで不正防止
  • 有給残日数や残業時間をリアルタイムで可視化
  • 給与計算ソフトとの連携により集計ミスゼロ
  • シフト管理や在宅勤務の対応も可能

「導入しただけで36協定違反を未然に防げるようになった」という事例もあります。

【3】導入手順と選定のポイント

クラウド勤怠システムをスムーズに導入するためには、以下のステップが重要です。

STEP1:現状の課題の洗い出し

「何に困っているか?」を明確にし、改善ポイントを整理します。

例:集計時間の短縮/外出先での打刻/有給管理の効率化

STEP2:機能・コスト・連携性を比較検討

市販システム(例:ジョブカン、KING OF TIME、freeeなど)は機能も価格もさまざま。

勤怠管理だけでなく、給与計算や人事評価と連携できるものを選ぶと、業務効率がさらに向上します。

STEP3:試用期間を設けて社内研修

いきなり本稼働するのではなく、1か月程度の試用期間で社内の運用ルールを整えることが成功の鍵です。

【4】業務改善助成金で費用負担を抑える

クラウド勤怠管理の導入には費用がかかりますが、業務改善助成金などの制度を活用することで、導入費用の一部を国から補助してもらうことが可能です。

  • 対象経費:クラウド勤怠システムの導入費、PC・タブレット購入費など
  • 要件:事業場内の最低賃金引き上げ+生産性向上設備の導入
  • 支給額:最大600万円(コースにより異なる)

弊社でもこの助成金を活用し、システム導入費用を大幅に抑えた中小企業の支援実績があります。

まとめ

「うちにはまだ早い」と思っていたクラウド勤怠管理は、今や“やらないことがリスク”となる時代です。

紙の管理では対応しきれない法令対応・業務効率化・人材定着を実現するためには、DX化は避けて通れません。

社会保険労務士法人HRMでは、貴社の課題に合わせたシステム選定から、助成金申請、就業規則の整備までトータルでサポートしています。

勤怠管理を「経営の武器」に変えてみませんか?

この記事は私が書きました