「この仕事は○○さんじゃないと分からない」「前任者が辞めたので引き継ぎが不十分」「エクセルのファイルがどこにあるか誰も分からない」——

これは多くの企業が抱える“総務業務の属人化”に関する典型的な課題です。

人事、労務、庶務、法務、福利厚生、採用、社内行事…総務部門はまさに“組織の背骨”とも言える重要な役割を担っていますが、その業務は属人的で非効率になりやすい傾向があります。今こそ総務部門に“OS=共通基盤”を導入し、業務の標準化・可視化・デジタル化を進めることが必要です。

■ OS化とは何か?なぜ必要か?

ここで言う「OS化」とは、「業務プロセスの標準化・マニュアル化」「情報の一元管理」「ITツールを活用した効率化」を指します。つまり、「誰でもできる」「どこでも確認できる」「何がどうなっているか見える」状態を作るということです。

属人化された総務業務は、退職や休職、異動などで簡単に“ブラックボックス化”してしまいます。逆にOS化された総務部門は、業務の継続性・安定性が高まり、企業の“安心・安全な土台”として機能します。


総務OS化に取り組むべき3つの理由

  1. 人的リスクの最小化

 担当者の離職=業務停止にならない仕組みを構築することで、経営の安定性が確保されます。

  1. 採用・育成の効率化

 新任担当者でもマニュアルと共通ツールがあれば早期にキャッチアップでき、教育コストが削減されます。

  1. 経営判断のスピードアップ

 総務業務が整備されることで、人事・労務・経費情報などのデータ活用が進み、迅速な経営判断が可能になります。


実践例:総務OS化で進めるべきポイント

  • 業務一覧とフロー図の作成

 誰が何を、いつ、どう処理しているかを整理し、見える化することが第一歩です。

  • マニュアル・帳票類の共有クラウド化

 紙や個人フォルダに分散していた情報を、共通クラウドフォルダ(Google Drive、Dropbox等)で管理。

  • 勤怠・給与・社会保険手続きのクラウド化

 オフィスステーションなどの労務管理クラウドを活用することで、作業効率・正確性・法令遵守を同時に実現できます。

  • 問い合わせのナレッジ化

 よくある社内の質問(例:年末調整、住民税、慶弔規定など)をFAQとして整備すれば、総務の“呼び出しコスト”が大幅に減少します。


総務の未来は、属人化から“仕組み化”へ

総務部門は、縁の下の力持ちであると同時に、企業文化・風土を醸成する存在でもあります。だからこそ、業務を人に依存させるのではなく、組織に蓄積されるナレッジと仕組みで動かすことが、持続可能な成長の第一歩です。

OS化は一朝一夕には進みませんが、小さな標準化・共有から始めていくことが可能です。そして、OS化された総務は、経営を安定させるだけでなく、他部署からも信頼される“戦略的パートナー”へと進化していくのです。

この記事は私が書きました

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