障害年金制度は、障害のある方とその家族の生活を支える大切な仕組みです。しかし現実には、「どう申請していいかわからない」「何を準備すればいいのか不安」「本当に通るのか」といった悩みを抱える方が多くいらっしゃいます。特に知的障害や発達障害など目に見えづらい障害の場合、制度の壁を感じる方も少なくありません。今回は、実際に多くの申請を支援してきた社労士の立場から、親と子が押さえておくべき実務的なチェックポイントをお伝えします。

まず最も重要なのが、「初診日の証明」です。障害年金では、初めて医療機関を受診した日(初診日)が審査の基準となります。特に「20歳前障害」の場合は、20歳の誕生日以前に障害が現れていたことを証明する必要があります。このとき、診療記録がなくても、母子手帳の記録や特別支援学校での通級記録、療育手帳の交付履歴なども証拠として使える可能性があります。書類が不足している場合は、学校や医療機関への照会が必要となるため、早めの準備が鍵です。

次に大切なのが、「診断書の記載内容」です。多くのご家族が陥る落とし穴がここです。実際の生活状況と診断書の内容が一致していないと、審査で不支給になるリスクが高まります。たとえば、家庭では常に親が付き添っていないと外出できない状況なのに、診断書には「外出可」と記載されてしまうようなケースです。医師に診断書を依頼する際は、家庭での支援の実態を「日常生活状況報告書」などで具体的に伝えることが重要です。

ここで強調したいのが、「親が思っている以上に、支援している事実が多い」ということです。例えば、服薬の管理、食事や衣類の準備、金銭管理の代行、外出の同行、トラブル対応など、日常の多くの場面で支援が必要であれば、それは立派な障害の一環です。「手助けして当たり前」と思わず、客観的に見つめ直してみましょう。

私自身、愛知県内の特別支援学校や福祉事業所、親の会などから多くの講演依頼をいただいています。講演では「申請で重要なポイント」や「通らない理由の傾向」「事前準備の具体的な方法」などをお伝えしており、実際に「話を聞いて準備を始めたことで申請が通った」という声も多く寄せられています。

障害年金は一度受給が決まれば、長期的に生活の安定につながります。進学や就労、独立の選択肢を広げるためにも、早い段階で申請の検討を始めることが肝要です。また、不支給となっても「再申請」や「審査請求」という道もありますので、諦めずに専門家に相談してみてください。

親と子が安心して未来を描けるように。障害年金制度は、その第一歩を支える確かなツールです。迷ったとき、不安なときは、ぜひ経験豊富な社労士にご相談ください。あなたの状況に寄り添ったサポートを、私たちは全力で提供いたします。

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