障害年金には“調整”がなされることがあります。例えば傷病手当金と障害年金は両方を受け取ることは出来ません。結果的には、どちらか多い方になります。   ※実務的には複雑な計算式になりますが、概ねこの理解で大丈夫です。

生活保護と障害年金も調整が入ります。障害年金の受給額を収入として扱い、生活保護に充当される形になります。※生活保護は医療扶助もありますので金額以上のありがたみはあります。

で、このブログのテーマである児童扶養手当です。これはいわゆる「ひとり親への支援」になります。その、ひとり親が障害を抱えておられる場合に障害厚生年金3級が認められた場合、児童扶養手当は、事実上、止まってしまうようなのです。子供1人で月額で約4万円。障害厚生年金3級の月額は概ね5万円弱。どちらか多い方とのことです。まあ、お子様の人数で加算はあるとはいえ、ほとんど止まってしまいます。

ちなみに、障害年金2級ですと、子の加算部分のみの支給停止なので概ね月2万円程度ですので、障害厚生年金3級の支給停止は相当、容赦ないです。

傷病手当金ももらっていた場合

障害年金と傷病手当金は、両方を受け取れないのは良く知られた話なのですが・・・・・・。正確には「傷病手当金が支給されない」とされています。とはいえ、障害厚生年金3級と比べると傷病手当金の方が金額的には大きい場合がほとんどですので、差額まではなくなりません。

例えば傷病手当金が月15万円。障害厚生年金が月5万円とすると、障害厚生年金として月5万円が支給され、傷病手当金が月10万円になると言うわけです。これだけなら総額で変わらないので問題ないのですが・・・・・・。

児童扶養手当が関係してくると話が変わってきます。障害厚生年金として月5万円を受け取っていると言う事実が確かにあります。この時点で傷病手当金が減額されているわけですが、児童扶養手当の管轄(市役所等)からすると傷病手当金の事情など分かりません。ただ障害厚生年金として月5万円を受け取っているという事実だけがあるわけです。この月5万円に対して、児童扶養手当の支給にあたって調整をかけます。児童扶養手当(月4万円)が止まってしまうことになります。

つまり、障害厚生年金を月5万円を得たことで、傷病手当金から月5万円が減額されることに加えてさらに児童扶養手当からも月4万円が減額されるわけです。

もしも遡及請求をしていたら?

後日、傷病手当金(全国健康保険協会など)から返還の請求が来るそうです。さらに市町村からも、児童扶養手当の返還請求が来るらしいのです。1年分の遡及だとして総額で約40万円。完全なマイナスなのです。

え、本当にそんなことになるの?

実は本当にそうなるかは分かりません。児童扶養手当と傷病手当金を両方受け取っているというお話しを伺って、制度の仕組みを純粋に読み解いたら本当に危険だと感じた次第なのです。関係する官公庁に尋ねてみたけれどもどうにも要領を得ない回答でしたが、障害厚生年金3級を受け取った後になってこのことを言われたら恐ろしいので、しばらくは障害年金の請求手続きは待つようにお話しいたしました。

ちなみに、申出による支給停止という制度もありますが(使った人はほとんどいないらしいです)。これとて将来に向かってのことなので、遡及分には手続きができないように思います。

行政手続きの大原則として、ここまでの大損はないと思いたいが・・・・・・

障害年金に該当する程の状態でありながら、通常の収入と同様に取り扱って支給調整をするとは・・・・・・。児童扶養手当もまた福祉的なものなので、障害年金であろうと収入なのだから福祉の支給は必要ないのでしょうかね?  全く理解できないわけでもないですが、福祉の支援のおかげで何とか生きている人には残酷な仕打ちのように思います。

この記事は私が書きました

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