過大な要求【パワハラ類型④】について鹿児島地判平 26.3.12・U市(市立中学校教諭)事件を見てみたいと思う。

【事案】
鹿児島県市立中学教諭亡Aが同県が行う教員の指導力向上特別研修の受講期間中に自殺し、勤務校長らの行為は亡Aの精神疾患を増悪させる危険性が高い行為で、県等は信義則上の安全配慮義務に違反するとし、遺族らが損害賠償請求。
【判旨】損害合計約4,000万円
校長及び教頭は、当該教員の精神疾患を知りながら、免許外の科目を担当させ、当該教員に教育センターにおける個別の指導力向上特別研修を受けることを命じ、その際に当該教員は指導官から教員退職を促しているともとれる発言を受けたことなど、当該校長らの一連の行為により、当該教員の精神疾患を増悪させ、自殺させた。

労働者に担当させる業務について使用者は裁量を有しており、部下が一定の負担等を感じる業務を担当させることが直ちに職場のパワハラとなるものではない。
しかし、予防法務の観点からすれば、特に新たな業務、これまでに担当したことがないような業務等を担当させる場合は、部下の心身の状態、長時間労働の有無等にも配慮しておくことが肝要である。

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