業務指導と性的思考・性自認に関するハラスメントについて東京高判令 3.5.27・経済産業省事件を見てみたいと思う。
【事案】
経産省に勤務するトランスジェンダー(身体的な性別:男性、性自認:女性)の職員Xが、トイレの利用等について上司であるB室長と面談した際に、Bが「なかなか手術を受けないんだったら、もう男性に戻ってはどうか」と発言した
【判旨】国家賠償法1条1項:違法
B室長の発言は「なかなか手術を受けないんだったら、もう男性に戻ってはどうか」というものであって、Xの本件各要望事項に対する経産省の対応方針から明らかに逸脱しており、1回限りの発言であるか否かによって評価が左右されるものとはいいがたい
B室長の発言は、性別の違和感に関する苦痛を感じ、社会生活上様々な問題を抱えている性同一性障害者であるXに対して精神的苦痛を被らせたことは明らかであると言わざるを得ず、Xが被った、B室長の発言を原因とする精神的苦痛を慰謝するためには10万円が相当
パワハラ防止指針には性的思考・性自認に関するハラスメント(アウティング)がパワハラの一類型として明記されています。
性的思考・性自認に関するハラスメントを知らないでは済まされないので注意が必要です。
この記事は私が書きました
三重県出身。工場の派遣バイトの傍ら社会保険労務士の資格を取得。中途採用で地元商工会議所勤務を経て、労働局の窓口業務を通して様々な事例を経験。 非正規就労の悲哀と行政の仕組みを熟知しているシナジー効果を強みとし、皆様のサポートをいたします。