私たち社会保険労務士法人HRMでは、厚生労働省に申請する許可に関する手続きを承っています。

許可申請と言えば、膨大な添付書類が必要になることでウンザリした思いを抱える方も多いとお聞きします。しかしながら許可申請のプロの立場からすると、添付書類をお示しいただけるのはむしろ本当にありがたいのです。

添付書類は何のためにあるのでしょう? そもそも添付書類という言い方ですが、申請書の添付物といった考え方ですと鬱陶しく感じて当たり前です。そうではなく、申請書の全ての記載欄の裏付け資料なのです。

申請書作成はまず申請人の名前(会社名)を書くことから始まります。その会社名の裏付けのために、会社の謄本と役員全員の住民票が必要になります。法人そのものと役員について記載して初めて申請人を特定できます。その際に大事なのは、会社の謄本や役員全員の住民票どおりに一言一句違わずに記載することです。その一言一句の正確さにこだわるとなりますと、手元に会社の謄本を用意しなければ書けないはずです。

申請書にはそのような正確さが求められます。許可申請において、この正確さは本当に大事です。ごくわずかな書き間違いのせいで、申請者との同一性を担保できないことにつながります。許可申請を管理する立場からすると本当に切実な問題なのです。

本当に正しく書けますか?。漢字が旧字体といった場合もあるでしょう。社名にカンマかピリオドが入っているとか、住所の表示。その全てを完璧に記憶していますか? 添付書類が手元にあれば、見たまま書けばいいわけです。正確さを担保されます。また、担当者によるかもしれませんが、添付書類があれば職権で修正していただける場合もあります。

原理原則に立つならば、許可申請ともなりますと申請書の記載欄1つ1つについて裏付け資料が必要ということになるのです。例えばキャリアアップに資する教育訓練については、敢えて添付書類を特定はしていませんが、申請者は説明ができなければなりません。

実は許可申請の記載内容は、うっかりミスであれ間違いがあると法令上上は虚偽申請にあたります。罰則規定として法第61条第1号には30万円以下の罰金との定めがあります。この刑が確定しますと、法人および役員は向こう5年間許可申請が出来なくなります。もし添付資料で内容を説明してあれば、虚偽ではなく記載ミスとの釈明ができます。添付資料の内容が不十分なら、改善のアドバイスを受けることができます。官公庁はビジネス発展や現場トラブル対応の実務的なアドバイスはする立場にないですが、適正な許可事業の運営に関するアドバイスは官公庁にとって大事な業務なのですから。

許可申請のプロとして言わせてもらえば、添付資料のない申請なんて本当に恐ろしいです。コロナ禍における雇用調整助成金では、申請の簡略化のため添付書類が大幅に減りはしましたが、代行する立場としては危険な印象を持っているのです。後になって強い疑念を持たれた官公署に対してどのように釈明すればいいのでしょう?。あらかじめ添付資料をつけておき、双方の認識共有を図る方が遥かに健全です。

また、許可申請を代行する立場としては、添付書類を適正に整えることを通して運用体制の構築のためのコンサルティングを行うことが出来ているというわけです。労働者派遣事業許可に限らずあらゆる添付書類は、適正な事業運営において頼もしい足掛かりになるものといえます。

この記事は私が書きました

Category