2020年4月1日から、派遣労働者の同一労働同一賃金のための待遇確保が義務づけられています。賃金額に加え、通勤費の支給と退職金制度についても言及された内容になります。

退職金制度は正社員向け? 同一労働同一賃金の考え方においても、一般的に対象者は正社員のみだからこそ、派遣労働者の待遇において比較対象の1つとなったわけですが、この機にぜひ、非正規労働者むけの退職金制度はいかがでしょうか?

退職金制度について事業者側のメリットという観点から考えるに、正社員よりもむしろ非正規労働者にこそ導入をとお勧めしています。

顧問先からは「非正規労働者は突然退職してしまうことが目に付く」といった声を耳にします。管理する立場では、突然の退職は他のスタッフにかかる負荷が極めて重くなります。このことがさらに退職リスクを高めるといった点は無視できないものがあります。

実は退職金制度は、突然の退職リスクを大幅に軽減させることができます。退職金そのものというより、運用ルールの最適化によって突然の退職リスクの軽減を実現させます。

一例として、退職金の支給にあたって「30日前の事前通知」を条件にすると、突然の退職は退職金の権利を放棄することを意味しますから、これだけでも突然の退職リスクを大幅に下げられるのではないでしょうか?

他にも、様々な条件づけが考えられます。業務の引継ぎのこと、貸与品をルール通り返却する、業務状況に応じた退職日についての協議。諸条件をポイント制にして、退職金の支給率を変えるといった運用もできるでしょう。

残酷な言い方になりますが、人間を変えることは非常に難しいです。ましてや短期の雇用契約の期間中に人間性を改善するなんて現実的な考え方ではありません。また、人間的に優れた人材ばかりを厳選することはできるでしょうか?

人間は変えられずとも、ルールに当てはめることはできます。どうしてもルールに従わない人間には、退職金制度という極めて良い契約条件を適用しないことで労務コストの削減になります。

退職金制度を案内することで、働く皆様の待遇をきちんと考える事業者であることをアピールできます。担い手確保の観点からも、効果が期待できるでしょう。非正規労働者の向けの退職金制度を本気で考えてみませんか? 

私たち社会保険労務士法人HRMには、非正規労働者の扱いと労働関連諸法令の両方に精通した社会保険労務士が在籍しています。

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