法律上、時間外労働の上限は原則として月45時間、年360時間とされており、臨時的な特別の事情がなければこれを超えることができません。
臨時的な特別の事情があって労使が合意する場合でも
・時間外労働・・・年720時間以内
・時間外労働+休日労働・・・月100時間未満、2~6か月平均80時間以内としなければなりません。

厚生労働省は、長時間労働が疑われる事業場に対する令和3年度の監督指導事例として以下の通り、立入調査において把握した事実と労働基準監督署の対応を公表しています。
1. 労働者12名について、36協定で定めた上限時間(月42時間)を超え、かつ労働基準法第36条第6項に定められた時間外・休日労働の上限時間(月100時間未満、複数月平均80時間以内)を超える違法な時間外・休日労働(最長:月246時間)が認められた。
【労働基準監督署の対応】
①36協定で定めた上限時間を超えて時間外労働を⾏わせたことについて是正勧告(労働基準法第32条違反)
②労働基準法第36条第6項に定められた上限時間を超えて時間外・休日労働を⾏わせたことについて是正勧告(労働基準法第36条違反)
③時間外・休日労働を月80時間以内とするための具体的な方策を検討・実施するよう指導

2. 1か月80時間を超える時間外・休日労働を⾏っている労働者に対して、医師による⾯接指導を実施する制度が導⼊されていなかった。また、一部の労働者について、労働時間を把握していなかった。
【 労働基準監督署の対応】
①時間外・休日労働時間が1月当たり80時間を超えた労働者について、⾯接指導等を実施するよう努めること、また、その実施の検討に当たり衛生委員会等により調査審議を⾏うことを指導
②労働時間の状況の把握を⾏っていなかったことについて是正勧告(労働安全衛生法第66条の8の3違反)
③「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」に基づき、改善に向けた方策を講じるよう指導

働き方改革により労働時間管理が厳しく問われています。当事務所では、就業規則を含め、労務管理のお手伝いをさせていただいています。不安のある事業者様は一度ご相談ください。

この記事は私が書きました