業務指導の必要性について(注意・指導の内容・態様、口調、執拗さ)大阪地判平 19.6.15 ゴムノイナキ(損害賠償等)事件を見てみたいと思う。

【事案】
労働者Yは、Eからのクレームは、X(Yの勤務会社)がEにYの行動を監視し、些細なことでも奉公するように指示したことによるものであり、顧客や仕入れ先からのクレームは、大阪営業所に対するものであって、Y個人原因があるものではない、②Bから頻繁に呼び出され罵声を浴びされるなど退職強要に向けた嫌がらせを受けたと主張
【判旨】
Eからのクレームは、Yの業務態度について、社内はもとより顧客や仕入れ先からも様々な苦情があり、注意しても一向に改善されないことに苦慮して、やむなく出されたものであることが窺われ、些細なことをあえて取り上げたものと破壊されない。
顧客や仕入れ先は、名指しでYの対応の悪さを指摘しており、担当者の交代を求められることがあったことからしても、クレームの原因は主にY個人の資質や態度にあるというべきであって、大阪営業所に対するクレームを押し付けたというような類のものでない。
Yは、Bから、頻繁に呼び出され、罵声を浴びせられ、反省文を何度も作成させられるなど、退職強要に向けた嫌がらせを受けたと主張する。しかし、前述のようなクレームがあるYに対し、上司であるBが厳しく注意し、指導するのは、むしろ当然のことであるし、本人の自覚を促すため反省文を作成させたことにも合理性が認められる。
しかも、漫然と反省を求めるのではなく、問題点を個別に書き出させ、一定期間経過後に改善状況を確認するとともに、クレームごとに問題点とあるべき業務内容を整理した一覧表を作成し、これに基づき一つ一つ事実を確認しながら指導を行うなど、その方法は具体的かつ丁寧で、退職強要に向けた嫌がらせと評価されるようなものではない。

上司には部下への指揮命令権があるものの、人としては対等な関係であるところ、指導すべきは「行為」であり「人格」ではないこと。指導が細かすぎないか、本当にそこまで必要かを考えるべきである。
特にホワイトカラーの職場での指導において、大声で指導する必要性、感情的になっていないか、口調はきつくないか、ほかの社員までビクビクしていないか注意すべきである。
指導するにあたっては、文書で残すことが会社を守ることになるが、「反省文」とのタイトルで提出させることは人格を侵害する可能性があるので避けた方が良いと思われる。

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