商用車メーカー大手(本社・川崎市)で7年前、急性心不全で死亡した整備担当の男性(当時38歳)=大阪府=について、京都下労働基準監督署が「過労死ライン」の月平均80時間に満たない残業時間で労災と認定し、遺族の申請を退けた過去の決定を覆したことが判明した。認定は2022年6月30日付。
過労死ラインのみを重視せず、労働環境もより慎重に考慮する2021年9月改定の新基準に基づき判断された。

また、21年12月には、千葉県柏市内の居酒屋チェーン店で勤務中に脳出血を発症し、後遺症が残った元調理師の男性について、柏労働基準監督署が全国で初めて、過去の判断を翻して労災認定した。
男性もいったんは過労死ラインに満たないとして申請を退けられたが、不規則な深夜勤務などに伴う負荷が考慮された。

厚生労働省は21年9月、脳・心臓疾患を巡る認定基準を改定。過労死ラインに近い残業時間であれば、過酷な労働環境に伴う身体的負荷なども総合的に判断することが明記された。認定基準改正のポイント以下のとおりである。
・ 長期間の過重業務の評価にあたり、労働時間と労働時間以外の負荷要因を総合評価して労災認定することを明確化
・ 長期間の過重業務、短期間の過重業務の労働時間以外の負荷要因を見直し
・ 短期間の過重業務、異常な出来事の業務と発症との関連性が強いと判断できる場合を明確化
・ 対象疾病に「重篤な心不全」を新たに追加

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