言動自体は著しく適切でないとしても、信頼関係を築いた上で行う、あるいは言動後に相手の心情を和らげるような措置を執るといった配慮があれば、パワハラが否定される余地があるとする裁判例がある。

海上自衛隊事件(福岡高判平成20年8月25日)
「本件行為に係る言動は、特に緊急を要しない場面で繰り返し言われたものと推認され、かつ、Aの個々の行為や技能について言われるにとどまらず、地位階級に言及し、人格的非難を加えたものというほかなく、しかも、それを信頼関係を築いた上で行うとか、そのような厳しい指導を行った後にAの心情を和らげるような措置を執るといった配慮があったともうかがわれないので、到底正当な指導の範疇であったと認めることはできない。」

パワハラに該当するような言動があっても
(1)受け手との人間関係(信頼関係)に照らして、当該受け手の立場からは通常精神的苦痛等を感じないものであればパワハラではない。(但し、行為者だけが信頼関係があると思い込むことは危険!
(2)言動の後の対応(フォロー等)も評価の対象となり、当該対応により、精神的苦痛等が緩和されていればパワハラが否定されることがある。これは、コミュニケーションにはエラーがあり得ることを許容したものである。

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