人材ビジネス全般を、事業者としてではなく行政の立場から長年にわたって見続けてきた社会保険労務士です。社会保険労務士法人HRM三重オフィスの責任者を担いつつ、人材ビジネスに関しては当法人全体を担当しています。

労働者派遣法で義務付けられている書類の1つで、「(労働者派遣)個別契約書」こそが原点と言っても過言ではありません。これは、派遣労働者1人1人の個別ではなく、労働者派遣契約そのものを個別に契約書におこしたものとなります。

雇用保険の適用事業所とは?

労働者派遣個別契約における「派遣先事業所」とは、原則として雇用保険の適用事業所とお考え下さいと説明しました。

雇用保険の適用事業所をどのように取り扱っているのか、実態として事業者様ごとに様々です。一切何も考えずに全員を本社に一本化しているなんてこともあるようですね。

派遣先の事業所(ごく一般的な事業所です)には、「派遣労働者をいれる権限はあるけれども労務管理はしていない」なんてことがありました。例えば工場でしたら、生産管理事務のためにかなりの人数の事務スタッフが働いているということがありましたが、あくまで生産物や消耗品や工場の運営に様々な購入を管理しているのでしょう。なるほど、派遣労働者の管理は工場運営の日常業務の一環なのかもしれませんが……。

社員と派遣労働者では労務管理が異なるのですか?!

怒怒怒。派遣労働者は人間ではないとでもいうのでしょうか? 派遣労働者の管理をするのなら、工場全体のスタッフの管理もやればいいのです。なぜそこに差をつけるのですか? 

これがすなわち、雇用保険の適用事業所として届け出て、一定の独立性を有する事業所として雇用保険番号を付与されるということであり、事業所として適切に労務管理を行うということなのです。

もちろん事情は分かります。現場をどう運営するのか? 効率性も大事でしょう。

これは人間としての取り扱いに差があることへの違和感なのです。それを全く感じないとしたら、派遣先の管理側としては本当に危険と言わざるを得ません。平成27年9月以前の労働者派遣法なら、仕組み上はまだまかり通ったかもしれません。当時、派遣元は許可制として当局の管理下には置いたものの、派遣先事業所に対しては指導が行き届いていなかったのは否めないでしょう。

働く方々の管理は、ただ数字上のことだけではありません。指揮命令を有する立場として、派遣労働者の労務管理がどうあるべきかという問題意識であり、それすらも欠如していては最早人間扱いを放棄したと感じずにはいられないです。

本当に人間扱いしていないとまでは、私も思っていません。国の制度をどのように扱うかで、管理者側の性根の根幹部分があらわになってしまうのです。きっと、知らない方もいらっしゃるでしょう。知らなければ、恥ずかしさは感じません。今、知ったうえでどう感じますか?

とは言ってもどうしたらいいか分からない? そんな皆様の支援を、私たち社会保険労務士法人が担います。

この記事は私が書きました

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