人材ビジネス全般を、事業者としてではなく行政の立場から長年にわたって見続けてきた社会保険労務士です。社会保険労務士法人HRM三重オフィスの責任者を担いつつ、人材ビジネスに関しては当法人全体を担当しています。

労働者派遣法で義務付けられている書類の1つで、「(労働者派遣)個別契約書」こそが原点と言っても過言ではありません。これは、派遣労働者1人1人の個別ではなく、労働者派遣契約そのものを個別に契約書におこしたものとなります。

派遣先事業所と就業場所

ほとんどの場合、同じ内容になります。そのため、項目ごと省く傾向があるようで「派遣先事業所が抜けている」場合が多いです。そしてこれは、労働局(需給調整事業)からの指導内容になります。

抵触日についてご存じですか?。平成27年の法改正で、抵触日は「事業所単位と組織単位」になりました。つまり、労働者派遣個別契約書の雛形(厚生労働省)の一行目にある「派遣先事業所」とは、いわば「事業所単位の抵触日」と関連づけられていると考えればいいのです。だとすれば、省いては困りますよね?。

では派遣先事業所とは?

そのまま派遣先事業所を書けばいいわけではありません。事業所単位の抵触日は、派遣先が通知しなければなりません。抵触日の通知を念頭に置いて「事業所とは?」と考えるのです。・・・ここを安易に考えていては、労働者派遣契約は成り立ちませんよ。派遣先として、どうやって“事業所単位の抵触日”を通知するのです?。これは派遣先がもっぱら責任を負わなければなりません。

派遣先事業所とは、雇用保険における適用事業所とお考えいただければ大丈夫です。例えば、工場では労務管理をしていない(生産管理事務のみ)場合なら、統括的に管理する組織が“事業所”となるわけですね。工場ごとに派遣労働者を管理しているなら、それは労務管理をしているわけですから雇用保険の適用事業所をどうするかについてご検討ください。

では就業場所とは?

これが、組織単位の抵触日と密接に関係しています。派遣先における組織で、どこに所属するかなのですよ。ここには「電話番号」も書くわけですから、電話番号を振られていない部署だとしたら違和感を覚えませんか? 本来ですと組織単位とは「指揮監督権限を有するもの」とされていますから、連絡先もないような組織単位に本当に権限を有していると思いますか? 疑いたくもなるでしょう。今どきですから、固定電話の番号の有無で一律的に判断するのも時代とそぐわないかもしれませんけど、権限がある部署と直接連絡がとれないなんてことはありえません。

部署と電話番号を併せて記載することになっているわけですから、自ずと考えませんか? そう考えていけば、社会保険労務士法人HRMにおける人材ビジネス担当者としては何も迷いません。

現場の部署ごとの連絡先を公表する必要はないとは思いますが、少なくとも派遣元事業者へは就業場所への直通の連絡先は知らせなければなりません。でなければもし派遣労働者の身に何かあった時にダイレクトに連絡がとれますか? 指揮命令をしている者と直接連絡がとれないなんて、とんでもないことです。派遣元事業者は、派遣先での状況をいつでも把握できる状況でなければならないのです。

労働者派遣法は、そのような前提にたって制定されています。そんな法律感覚は最低限のことになります。その感覚がピンとこないようでしたら、私たち社会保険労務士法人HRMにご相談ください。

この記事は私が書きました

Category